ブラックな教育系出版社に勤める柿下千春は、小説家の夢破れた三十一歳。ある日、高校時代の親友・田宮沙織とかつて交わした「お遍路に行こう」という約束に導かれるように、出勤とは逆方向の電車に飛び乗った。沙織とは、彼女が香川県高松に越してから、もう十年以上会っていない。お遍路に行って、生まれ変わろう。沙織に会いに行こう―。徳島に着き、四国八十八箇所霊場を巡るべく歩き始めた千春は、同い年の高松琴美に出会い…。実際に八十八箇所を巡った著者による、史上初(?)の本格お遍路長篇、ここに誕生!!