男一人。ホストクラブへ行く

2009年10月12日

ある朝、ゴールデン街のいいちこに完全にノックアウトされ
グロッキー状態で目覚めたボクはピンコ立ちした愚息を引っさげ、風俗案内所へ。

風俗案内所で、イチオシのお店を紹介され、そのイチオシの店の店員にイシオシの風俗嬢を紹介してもらう。
写真を見ると、 優香似の美女である。即決定。

貧民街の売春宿のような空間。四畳半の狭い室内で、シーツを 飛び交うノミに恐れることもなく、ボクはピンコ立ちした息子をなだめながら、イチオシ二乗の優香を待つ。

コンコンコン。ドアが鳴る。そそり立つ肉棒を一人素股で挟んで意気揚々とドアノブに手をかけたボクは地獄を見る。

目の前には、ゴスロリ系の森三中村上が。村上が、X-JAPANのhideみたいに真っ黒なアイシャドー。

常日頃、合コンなどで

「優香似とMEGUMI似は怪しい」

という法則を感じていたが、まさかゴス村上が来るとは。

すっかりと人間不信になってしまったボクは当然のごとく、H2ロケットのように発射失敗。歌舞伎町の奥へと足を踏み入れる。もう、オンナなんか信じられない。TRUST NO ONE。X-FILEのモルダー捜査官並みに疑心暗鬼になっていたボクに、妙案が浮かぶ。

「そうだ。ホストクラブへ行こう」

イケメンホストが、この中年一歩手前の冴えない男を取り囲んでいる。想像するだけで、おもろい。

***

久しぶりのホスト街。よくぞまあ、自分はこんなところで働いてたもんだ。と、しみじみと哀愁の想いに。
キャッチをしている王子様に、「すいませーん。男なんすけど入れますか?前払いで」と声をかける。

その王子様は「イチゴー、フリータイム飲みホでイイっすよ」
と柔和な笑顔を見せつける。即決定。
(ちなみに、後で知ったが、王子はかなり有名なカリスマホスト。たまたま声をかけたホストがカリスマだなんて、やっぱりすごい人 というのは、何かしら人をひきつけるオーラがあるんだなあ)

カリスマ王子と、その子弟数名がボクを囲んで、店へと案内する。傍から見れば、異様な光景だろうなあ・・・

***


「どうもー。ジュンっていいます!男性の方に来てもらってうれしいです。」

とりあえず、焼酎なら好きなだけ、飲め。と、私は、自称ゲイのIT社長というコンセプトでキャラを演じ続ける。見ればジュン君。タッキー似の男前じゃあないか。ジュン君の真っ白なオデコには、痛々しい絆創膏が貼ってあった。

小生「ジュン君、そのケガどうしたの?」
ジュン「テヘ。女の子に殴られちゃいました」
小生「やだぁ。汚らわしいオンナね!」
ジュン「交差点のド真ん中で往復ビンタ!ビンタですよ!」
小生「どんだけー!!!」

テヘ。言ってみたかったんだ、このセリフ。しかし、ジュン君。ケガネタ意外に口数はすくなく、どんだけ無言!!ってグチりたくなるほど、IKKOに会話は進まない。やがて、ジュン君が去り、今度は、成宮似のシンヤ君現る。彼の目には紫のカラコンがつけられている。カッコゆい。

シンヤ「はじめまして。シンヤです」
そう言って、シンヤは、両手で私の手をギュッと握り締める。
アイドル気分かよ!っと思いながらも、その手は生暖かくキモチイイ。

小生「そのカラコン。すごいイイね。」
シンヤ「ありがとうございます!ムラサキはマジイイっすよー」
小生「ウンウン!ムラサキ、マジイイねー。」
シンヤ「ウンウン!ムラサキ、マジイイねー。」

ナンだコイツ?異様にテンションが高いが、まっ、悪い気はしない。でも意地悪して、あの話題を振ってやろう。

小生「そういえば、紫の鏡ってあったねえー」
シンヤ「え!?ナンすか?それ!?」
小生「年いくつ?」
シンヤ「18ス」
小生「ふーん・・・」

紫の鏡を知らんのか!!教えてやろう!この言葉を二十歳まで覚えておくと死ぬか不幸になる のじゃ。オレはもう過ぎてるから関係ねえのじゃ!だが、ピンクの鏡を覚えておくと不幸にならないのじゃ。ピンクの鏡はいわば、ATフィールドじゃ!

小生「マッ。なんでもないよ」
シンヤ「そうすか」

その後は、シンヤ君のテンション高めのトークに小生は何とか機嫌を取り直し、徐々に酒をあおり続けて例に酔ってフラフラになっていく。

視界がボンヤリとしてくる。目の前に今、座っているのは、元ホスト・ヒロシ似の現ホスト・ヒロミだ。彼は丁寧に話を聞いてくれる。将来、IT企業の社長になりたいのだという。「どうしたらお金が溜まりますか?」という、彼の余りに安易な質問に妄想IT企業家の小生は

「とりあえず働け。イヤなら体売れ」

と、単刀直入なアドバイスを披露する。

やがて、視界の先には、客として来ている、美少女軍団が、小生を動物園のナマケモノでも見るように奇異な視線を浴びせかけてきた。きみたち、かわゆいのに、どうしてこんなところへ来るのだよぅ。そんなに現代の世の中は病んでいるのか。寂しいのか・・・グハ・・・

***

「また、おねがいしまーす!」

気がつくと、目の前には、ムラサキコンタクトの男がさわやかな笑顔を魅せていた。いつのまにか送り指名で、彼を指名していたらしい。色々な男に囲まれ、恍惚としたが、結局、顔とテンションで私は、彼を気に入っていたらしい。ホストにとって、テンションとは重要なものだ、っと高崎ケンは、半年前ののデブホストに呟いていた・・・


PS. その後、成宮から何度か、可愛らしい営業電話がかかってきた。男が男を営業する。ホストってやっぱり大変なのです。