真夜中の風景
冬の夜の道は険しく、時に憐憫を誘い、 深夜帰宅のサラリーマンに
「君はすごいなあ」と思わせるほど、寒風の中忍耐強い
冬場の道は硬い。鋭い踵のブーツや厚底靴。
いついかなる時にも耐えうるよう、寒風を浴びる日々。
飲みかけのジュース。あったかそうなゴミ箱の屑が
うらやましく思えるほどの寂しさ。でも、ほんとは
車の行き交う通りを見れて、一人嬉しかったりもする。
ライトアップされたゴミ。つかの間のスターだ。
ゴミと、永田町が変なバランスで存在している。
放り出された小汚い椅子と役立たずの地図。 そこで休息する者は滅多に見ない。
なんとなく悲壮感漂う光景。 王冠やラムネの瓶は宝箱に入れても、吸殻を相手にする小学生はいない。
「あんまり、働きすぎんなよ。」
赤く光る信号が、静かに言った。
浮かび上がるマンションのライト。
四コマ漫画のようにも見える
鳥居の影もここまで縮む
スモールライトの世界が、影にはあるのだ。
夜の道路に向かってシャッターを切るだけで、SF映画のような空間が出来上がる。
イタチョコのようなマンション。
得体の知れない光虫と、虫取り網のよう。
白い大蛇のようで、一瞬ドキッとした。
眠れない、男の夜なんてこんなもの。
コンビニへ行くか、AV鑑賞か。
長い階段は上る為ではなく、見るためにある。
普段は混雑した人ゴミが大嫌いなのに。 夜明けの人影は、妙に嬉しい。 道に迷った山奥でのんびり登山を楽しむおばあちゃんに 出くわすようなものだ。
小学生よ、何を想う。
いつだって、働くヒトはいる。
もう、朝だよ。
ライト君。お勤め、ご苦労様。
さあ、電車に乗ろう。