忘れかけてた片思い
2009年10月12日
酔っ払って家の観葉樹を見ていると、ゆっくりとだが微かに
動くのが感じられた。
小さな蕾が、視線の先の双葉に恋をしているかのようだ
片思いといったところだろうか。
蕾は、双葉から触れたくとも触れられない距離にある。
おまけに見ていられるのは、双葉の横顔のみだ。
双葉は果たして目の隅で自分のことを捕らえてくれているのだろうか
そんなことを考えている蕾の横顔を見ている酔っ払いのボクがいる。
「ウチらのことなら放ってくださいな。」
そんなことでも言っているようだ。
観葉樹の横にはテレビがあり、サイコドラマのようなものが
流れている。もちろん何を言っているのか聞き取れないのだが、
酒に酔ったボクは彼らの身振り手振りでその呼吸を感じることは
できた。気がつくと、ドラマの世界に吸い込まれてしまいそうだ。
テレビを通り過ぎダイニングテーブルの上では
DELLのラップトップが、mayreyのbuilt to love
を歌っている。心地よいメロディ。
現実には、観葉樹のゆっくりとした動きがどうでもよく
感じられてしまうほど、面白いものが転がっている。
ボクの小指で挟まれたハイネケンだってそうだし、女やドラッグ、
シガレット。それに美味しいご飯。
built to loveがやがてメタリカに変わった妙に天井の高い空間の
中、ボクは蕾のセリフを思い起こしていた。
放っておいておくどころか、気に留めていなかったのは
ボクらの方だ。
小さな蕾は清廉な横顔でいつまでも双葉の横顔を眺めている。